国土交通省・総務省の公表によれば、大田区の空き家数はこの30年で着実に増加。1993年時点で約18,000戸だった空き家は、2023年には25,000戸を超えると推計されています(出典:総務省 統計局「住宅・土地統計調査(平成30年)」)。
全国的に「相続放棄による空き家放置」が問題となっており、田園調布でも例外ではありません。所有者が高齢で施設へ入所、その後相続人が不在あるいは放棄、というケースも増加。家庭裁判所の統計では、2022年の相続放棄件数は前年比約3%増(出典:家庭裁判所 統計(相続放棄)[PDF])。
また、法務省の調査でも、都市部ほど空き家化リスクが高い傾向が示されています。
田園調布の特徴として、「土地は広いが建物は老朽化」「分割しづらい土地形状」などが挙げられます。さらに景観条例や建築制限も厳しく、建替えに踏み切りにくいエリアとして知られています(出典:大田区 景観条例)。
2015年の「空家対策特別措置法」により、特定空家と指定されると固定資産税の住宅用地特例(1/6減額)が適用されなくなります(出典:国土交通省「空家対策特別措置法」)。老朽化が進み、景観や安全性に悪影響を及ぼす空き家は、田園調布でも対象となる可能性があります。
放置された空き家は、景観悪化や不法侵入、害獣被害などを引き起こし、地域全体の不動産価値を下げます。国土交通省の資料でも「空き家は近隣取引価格にマイナス影響を与える」と明記(出典:国土交通省 資料「空き家と近隣価格」[PDF])。
誰も住んでいなくても、固定資産税・都市計画税、水道・電気等の基本料金は発生。民間委託で見回りや清掃を依頼すると、年間10〜30万円の管理費が必要になるケースも(出典:全国空き家対策推進協議会)。
田園調布は今も「ブランド住宅地」としての価値がある一方、若い購入者層からは維持コストや建築制限が懸念されがち。不動産流通推進センターのレポートでは、築年数が進むほど成約率が急減する傾向が指摘されています(出典:不動産流通推進センター 市場レポート)。
建築基準法により、接道義務や建ぺい率違反の物件は「再建築不可」となる場合があります。こうした物件は融資が受けにくく、市場価値も大きく下がります(出典:国土交通省「建築基準法(接道義務等)」)。
大田区では「空き家除却補助金」や「老朽空家対策事業」などを通じて、除却・修繕費の一部助成が実施されています(出典:大田区 空き家対策ページ)。また、2023年の税制改正により、一定の条件下で「空き家譲渡の3,000万円特別控除」も活用可能です(出典:国税庁「空き家の3,000万円特別控除」)。
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